仮説思考でゲームを支配する仕事術

社会人2年目の壁を壊す『仮説思考』

あなたは"頼りがいのある人"か? それとも "タスクをこなすだけの人"か?

1. なぜ2年目が勝負の分かれ目なのか?

社会人1年目は、先輩の真似をして仕事を覚える「守」の時期。しかし本当の差がつくのは2年目から。与えられたタスクをこなすだけの日々から、一歩抜け出すための考え方が必要になります。

これはバドミントンで言えば、基礎打ちや基本戦術を覚えた後、「どうすれば相手を崩せるか?」「この配球の次はどこを狙うべきか?」と、自分でゲームを組み立て始める段階と同じです。

アキコさん

「トオルくんも社会人2年目だよね。最近どう?仕事には慣れた?」

トオルくん

「はい、アキコさん。おかげさまで一通りの業務は覚えました。でも、ここからどうやって成長していけばいいのか、ちょっと壁を感じていて…。」

中島コーチ

「いいところに気づきましたね、トオルくん。実は、社会人2年目からが本当のスタートラインなんです。ここからの動き方で、5年後、10年後のキャリアが大きく変わってきます。」

今回の学びのKey

社会人2年目以降の成長は、「タスク処理能力」から「対人影響力」へとシフトする。自分の行動が周囲にどう伝わり、どう動かすかを予測・検証する『仮説思考』が、その他大勢から抜け出すための鍵となる。

2. 先を読む力:『仮説思考』とは何か

「できる社会人」への第一歩は、自分の仕事が他人にどう影響するかを常に考えることです。単に資料を作るのではなく、「このまとめ方をしたら、A課長はどう判断するだろう?」「このメールを送ったら、取引先のBさんはどう動くかな?」と、相手の反応を予測する癖をつけましょう。

仮説思考のサイクル ▶ 仮説 (Hypothesis) ▶ 実行 (Action) ▶ 検証 (Verify) ▶ 調整 (Adjust) YOU
「仮説→実行→検証→調整」このサイクルを回し続けろ!

中島コーチ

そのあなたがやったことがどのように伝わるかとっていうのを自分で想定しながら動く。自分の今、制している人たちから始めましょう。…あの人にこういうことをしたら、こんな成果物を出したら、あの人ってどういうふうに動くかなっていうのをどんどん広げていくことが大事なんです。

トオルくん

仮説思考、ですか…。やったことがどう伝わるか、まで考えるんですね。正直、これまでは資料を完成させて提出するだけで精一杯でした。

中島コーチ

そうです。仮説思考で動いていって、想定通りうまくいかなかったら『なぜうまくいかなかったんだろう』って、ちょっとずつ調整をしていく。そうやって人との付き合い方にパターンを自分の中で持っていくことが大事です。

3. 高学歴でも「使えない」と言われる人の謎

学生時代まで優秀だった人が、社会に出たとたん「使えない」というレッテルを貼られてしまうことがあります。その最大の原因は、与えられた課題を完璧にこなすことだけが評価されると誤解している点にあります。

タスク思考と仮説思考の違い TASK タスク思考 (自分の作業だけ見る) 仮説思考 (関係性全体を見る)
一点を見るか、コート全体を見るか。その視点が勝敗を分ける。

アキコさん

私の周りにもいます。すごく頭は良いはずなのに、仕事がうまく回らない人…。何が違うんでしょうか?

中島コーチ

ほぼみんな共通しているのが、与えられたタスクをこなしていれば何とかなると思ってるんですよね。で、そうじゃないんですよねー。…社会人になったら、年齢が40歳違うし、取引先とか仕入れ先とかだったら、どぅワーッていろんな人の数も増えるし年齢差も大きく変わる。そんな中でやんなきゃいけないんですよ。で、そんなのタスクだけこなしてればいい世界じゃないんですよね。

会社は、年齢も価値観も異なる人々が協力して成果を出す場所です。タスクをこなすのは最低限の仕事。その先にある、人を動かし、組織としてより大きな成果を生み出すことこそが、本当に求められる能力なのです。

4. 人生を変える5つのコーチング的視点

今回の教室で見えてきた、あなたの仕事と人生を豊かにする5つの本質的な学びを紹介します。

1. 「守」から「破」へ:自分なりの工夫を加えよう

1年目は先輩の真似(守)でOK。2年目からは、その型をベースに「これをやったら相手はどう動くか?」という仮説思考(破)を取り入れよう。

2. 対人関係の「勝ちパターン」を蓄積しよう

「Aさんにはこのやり方、B部長にはこの資料」といったパターンを意識的に作り、検証する。この引き出しの多さが信頼につながる。

3. 「わかりやすい自分」を演出しよう

「〇〇さんはこういう人だよね」と共通認識を持たれることは強み。一貫性のあるキャラクターで、相手はあなたとの関わり方を予測しやすくなる。

4. 影響力の輪を広げていこう

最初は直属の上司や同僚から。次に、その先の部署や顧客がどう動くかまで想像力を働かせる。これが先回りした提案や調整を可能にする。

5. 「頼りがい」こそがあなたの価値になる

最終目標は「この人に任せておけば大丈夫」と思われる存在。安易に「確認します」と言わず、自分の範囲で即答できることを増やしていこう。

5. 明日から始める『頼れる人』アクションリスト

学びを行動に変えてこそ、本当の変化が生まれます。以下のチェックリストを使い、明日からの仕事への取り組み方を見直してみましょう。

アウトプット習慣チェックリスト

6. あなたもチームの「エース」になれる

社会人2年目は、キャリアにおける重要な分岐点です。与えられたタスクをこなすだけの「作業者」で終わるか、周りを巻き込み価値を創造する「仕事人」へと進化できるか。その鍵は、今回学んだ『仮説思考』にあります。

中島コーチ

どんどん自分がコントロールできる世界が広がっていって、あなたはいつしか会社の中でも『彼は頼りがいがあるね』…それが会社のエースと呼ばれる存在です。

自分の行動がどう伝わるかを常に考え、人との関わり方のパターンを増やしていく。その地道な積み重ねが、あなたを「替えのきかない存在」へと押し上げてくれるはずです。インプットで終わらせず、ぜひチェックリストのアクションを一つでも実行してみてください。その小さな一歩が、未来のあなたを大きく変えるでしょう。